また夜がきた。
陽が落ちてからまた昇るまでの数時間をどうやりすごすか、それともやりすごせないか。迷っている余裕はない。寝る準備を始めないと。
まずは枕だ。
何を詰めるか、何に詰めるか、どんな形にするか、 どちらの方角に向けるか、訊けば丁寧に教えてくれるだろうが、その丁寧さに付きあっている暇はない。そもそも枕などなくても寝られる。
それより布団だ。それほど寒い日でもないから、布だけでいいかもしれない。それならいっそ何もなくてもいいかもしれない。
絶対ないと困るものは屋根だ。
何しろ今夜は激しく流星群が降るという。
寝ている間に流星たちの襲撃を受けたら、ひとたまりもない。
あまりにたくさん落ちてきて、星がひとつもなくなったらどうすればいい。
星明かりが消えてしまったら、夜道に迷う人があとをたたなくなるだろう。
迷った人同士がぶつかっても、相手が誰だか分からなくなる。
ぶつかった相手が人間でなかったとしたらどうしたらいい。どんな言葉で謝ればいい。
さあ、どうしよう。
朝がくるまで、私は私でいられるだろうか。
山人(sanjin)@飛ぶコタツ