飛ぶコタツ

妄想の空をどこまでも…

うろこ雲昼の三日月隠したり

TBS系列のテレビ番組『プレバト』の俳句部門の査定を担当されている夏井いつきさんが、俳句を詠むのに必要なものを三つ挙げられています。
三つのもの。それは、手帳、筆記具、俳号だそうです。
つまりは、それ以外に準備が必要なものなどなくて、誰にでもすぐに俳句は詠めますよ、ということをおっしゃろうとしているんだろうと思います。
一応この三つは用意していました。
三つ目の俳号、遠野山人は俳号のつもりで考えたんじゃなくて、創作をするときのペンネームのつもりでしたが……
俳句のネタを書き込む手帳は、100均のお店で買ってきたA6版のものです。
筆記具はuniball SigNO 0.28を使っています。硬めの書き味が気に入っています。
手帳は一日に見開き2ページ分くらいを使います。
ページの1行に一句書くのにちょうどくらいのサイズです。
使い始めてから一ヶ月半ほどが過ぎ、ようやく手帳の半分くらいを使いました。
一つの句に向き合って推敲を重ねますが、それを手書きで書き直す作業が、五七五の長さなら少しも気になりません。
そもそも、スマホやパソコンは旧仮名遣いで書くには向いていませんし、手書きの心地良さを味わうこともできています。
夏井いつきさんが手帳と筆記具が俳句を詠むのに必要だとされたのは、この手書きの良さを言おうとされていたのかもしれません。

 

 

木の葉散る幾億年の昔より

植物は動物が生まれる遥か以前から地球上に生きていたとすれば、一体どれくらいの生死を繰り返してきたんだろう。
植物は地表に顔を出している茎や葉や花という存在が老い、枯れ果ててしまっても、地中に広がっている根は多分まだ命を失っていない。
そしていつか、次の芽となるものに繋がっていく。
ひょっとしたら、幾億年の昔から植物の命はずっと途切れずに続いてきているものなのかもしれない。

 

木の葉散ると言はず木の葉飛ぶと言へ

言葉一つで、表現の仕方一つで、気持ちは左右される。
考え方を変えるだけで、前向きになれる。そう信じて。

 

寒風に老若の葉なお並びおり

老若の葉という言葉があるのかないのか。
おそらくないんだと思いますが、たまたま通勤の朝、木の葉の写真を撮ろうと枝を覗いたら、まだ青い葉のすぐ隣に枯れかけた葉を見つけました。
冷たい風に吹かれて、この老の方の葉っぱは、夕方にはもうその枝の上にはいないかもしれない。そんな気がして。

 

チェリストの指踊るごと秋のホールで

弦楽器を巧みに奏でる指と弓。
客席側にずらりと並ぶのは左手側のバイオリンと右手側のチェロ。
バイオリンの弦を押さえる奏者の方たちの指の動きは客席からははっきりと見えませんが、立てて置いて弾くチェロの弦を押さえる奏者の指の動きはよく見えます。
その指が踊るようです。
アントニン・ドヴォルザーク『チェロ協奏曲ロ短調作品104』

 

うろこ雲昼の三日月隠したり

うろこ雲の一群が流れていく。
そのうちの一枚のうろこ雲だけが、違う動きをしている。
と思ってよく見たら、それは淡く白い光を放つ三日月でした。
昼間の月はいつも恥ずかしげに浮かんでいる気がします。

 

 

もし、お心に留まった句がおありでしたら、コメントいただければ幸いです。感想をいただくことで、たくさんの気付きを得ることができます。
また、いただいたコメントをブログ中で紹介させていただくことがあります。どうぞご了承くださいますようお願いします。

 

 

① 木の葉散る幾億年の昔より

 

② 木の葉散ると言はず木の葉飛ぶと言へ

 

③ 寒風に老若の葉なお並びおり

 

④ チェリストの指踊るごと秋のホールで

 

⑤ うろこ雲昼の三日月隠したり

 

 

 

 

 

以下、大変手前みそで恐縮ですが、、、前回の記事(木の葉散る今が終わりか始まりか - 飛ぶコタツにいただいたコメントから、良かったよと言っていただいたコメントと句を紹介させていただきます。

 

⑤ 木の葉散る今が終わりか始まりか

④と⑤が好きです。

⑤の木の葉散る、が好きです。「始まり」という言葉に前向きな響きを感じます。素敵な句ですね😊

木の葉散る今が終わりか始まりか が好きです。終わりだけど次の始まりの準備してるって考えると希望が湧いてきます。

 

 

happy-ok3(id:happy-ok3)さん、チャーコ(id:harienikki)さん、このはずく(id:mkonohazuku)さん、3回連続10cm(id:sankairenzoku10cm)さん、そしてこのほかにもコメントをくださったみなさま、ありがとうございました。

 

 

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山人(sanjin)👣@飛ぶコタツ