飛ぶコタツ

妄想の空をどこまでも…

ぐるぐる

また夜がきた。陽が落ちてからまた昇るまでの数時間をどうやりすごすか、それともやりすごせないか。迷っている余裕はない。寝る準備を始めないと。まずは枕だ。何を詰めるか、何に詰めるか、どんな形にするか、 どちらの方角に向けるか、訊けば丁寧に教えて…

プライバシーポリシー

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やまさま

僕の実家はYという山村で、H市からバスで2時間くらい揺られて行った所にありました。昔ながらの山を切り拓いてつくった段々畑や、黒や青色の瓦の合間にはまだちらほらと茅葺き屋根の残るそんな小さな村でした。 僕の家はその村の終点のバス停から、まださ…

一緒に帰ろう

六月九日朝、夢を見た。父の夢だ。そうだ、今日は父の命日だった。あの日の午後、危篤の報を受けて駆けつけた病室で、父にはまだ息があった。次々に家族が駆けつけ、みんなが揃ったのを見届けるようにして父は逝った。夢に出てくる誰もが猫の顔をしていた。…

猫と目が会うと無限になる。

招かれて向かう道で猫と目が会った。私と猫、どちらも目をそらさない。そのまましばらく時間が止まった。どれくらい経ったか、また時間が動き出し、猫は少し後ずさりした。猫が動いたから時間が進み出したのかもしれない。私はちらりと自分の足元を確認し、…

痩せ我慢・タイムマシーン・感性・答え

痩せ我慢それは、ひと呼吸つくこと。間をとること。少し離れて考えてみること。控えめになること。熱くなった感情を抑えること。口を閉じて喋らないこと。別のことを考えてみること。人を下に見ないこと。そして、聞き流すこと。やり過ごすこと。でも、痩せ…

歳をとらない残酷

朝の夢2021.5.18 別れた時の二十代のままの君がいて、歳をとった私が君の顔を覗き込んでいる。 なんて穏やかな表情だ。 どうしたの? 君は不思議そうに私に言う。 もう一度やり直せないか、と胸の底から思いがつき上げてくる。 あれから長い時間が過ぎてしま…